No.5
ジャカランダ(JACARANDA)通信
雨にも負けず風にも負けず
東にジャカランダを知る人あれば行ってうんちくを傾け
西に愛好家あれば行って談笑途絶えず
南に育てたい人あれば構わず持ってゆけといい
北に無頓着者いればそれでいいのかと懇梱と諭す
何も求めず決して焦らずただ黙々と我が道を歩む

11月17日は立冬、暦の上では冬に入る。人々はとっくに冬型に衣替えを終えている。こんな時ふと思い出すことがある。それは官庁の職場でよく見られる不可解な現象。官庁の冷暖房は定められた月日が来ないと稼動させないという不文律がある。暑さ寒さに関係なく、仕事の能率にも配慮されず、ただひたすらに「規則」に縛られて黙々と無神経に事を運ぶ。
融通のきかない人間社会の掟はさておき、生き物には相応の手だてが必要。特に寒暖に敏感な植物には十分な気配りは欠かせられない。

――越冬準備は進んでいますか?万端、手抜かりありませんか?――

私も暇を見つけては特製ハウスを作ったり、南側の軒下に土地の高さまで鉢を埋めたり、ビニ−ルの覆いを買い求めたり、ス−パ−に行って発砲スチロ−ルのボックスを集めたりしている。
ところで、ジャカランダを求める人々には順調に育ったものしか手渡していないが、我が家に残った10cm内外の発育不良が、この所やたらと目につき出した。小さな苗の時代成長の良いものの陰に埋もれて十分な日光浴や栄養補給が行き届かず、中には薬害にかかったものもあり、置き去りをつくってしまったものだ。何だか監理責任を問われるのは他ならぬ私のようだ。他の兄弟姉妹に追いつき追い越せと一人前に育つべく自責の念にかられて、せっせと励んでいる。